児童福祉施設には様々な職員の配置が定められています。
それぞれの職員の役割にも特徴があります。
児童福祉施設「各職員の役割」
施設から嘱託され診察や検診を行う嘱託医、医師、看護師、保育士、栄養士や栄養士の指示のもと調理する調理員等に加え、児童福祉施設特有の、以下のような職員が配置されています。
児童生活支援員の役割
児童自立支援施設は、不良行為をなす、またはなすおそれのある児童、および家庭環境、その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童が入所する。
児童生活支援員の役割は、その児童たちとともに生活し、生活・教育・職業などについて指導し、集団社会で生活していけるよう支援をする。
必要スキル
- 保育士の資格、または社会福祉士の資格を保有
- もしくは3年以上の児童自立支援事業での実務経験があること
児童自立支援専門員の役割
児童生活支援員と同様だが、必要スキルが違う。
必要スキル
- 医師であって精神保健に関して学識経験を有する人
- 社会福祉士の有資格者、厚生労働省地方厚生局長の指定する養成機関を卒業した人
- 大学や大学院で指定科目を履修し、卒業して児童自立支援事業の実務を1年以上経験、またはそのほかの実務経験が2年以上ある人
- もしくは小・中学校や高校の教諭となる資格を保持している人が1年以上児童自立支援に従事した場合、あるいは教員として2年以上その職務に従事
児童指導員の役割
事情があって親と暮らせない18歳未満の児童を、児童福祉施設等の福祉施設で監護すること。
児童の生活指導・自立促進・学習・道徳の目標設定なども行う。
必要スキル
- 地方厚生局長等指定の児童福祉施設職員養成学校を卒業
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 学校教育法規定の大学または大学院で社会福祉・心理・教育・社会のいずれかに関する学部・研究科・学科・専攻を卒業
- 小学校・中学校・高等学校のいずれかの教諭の免許状取得(学校種や教科は不問)
- 児童福祉施設での実務経験者(高卒以上2年、その他3年)(児童指導員任用資格の資格制度ができる前から、児童福祉施設に勤務していた職員に対する経過措置)
個別対応職員の役割
虐待を受けた児童、愛着障害のある児童、DVなどの被害を受けた母子などに対し、集団措置では対応しきれない部分を個別にケアすること。
必要スキル
- 資格要件なし(配置施設の規定のみ)
配置施設…児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び母子生活支援施設
家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の役割
入所児童の里親委託の推進、退所児童のアフターケアとしての里親支援、退所児童以外を含めた地域支援としての里親支援等。主に里親と児童をつなげる役割があります。
必要スキル
- 社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者
- 児童福祉法第13条第2項各号のいずれかに該当する者(児童福祉司資格)
- 児童養護施設等(里親を含む)において児童の養育に5年以上従事した者であって、里親制度への理解及びソーシャルワークの視点を有するもの
心理療法担当職員の役割
虐待を受けた児童、DV等の心的外傷のある親子に心理療法での支援を行い、安心感・安全感の再形成及び人間関係の修正を助ける。
必要スキル
- 学校教育法の規定による大学の学部で、心理学を専修する学科若しくはこれに相当する課程を修めて卒業した者又は同法の規定による大学の学部で、心理学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、同法第102条第2項の規定により大学院への入学を認められた者であって、個人及び集団心理療法の技術を有し、かつ、心理療法に関する一年以上の経験を有するものでなければならない。
母子支援員の役割
母子生活支援施設にいる母子の支援を行います。親子関係の再構築、退所後の生活の安定が図られるよう自立の促進等、就労、家庭生活、養育に関する相談・助言・連絡調整などの役割があります。
必要スキル
次にいずれかに該当するもの
- 厚生労働大臣の指定する児童福祉施設の職員を養成する学校か、その他の養成施設を卒業したもの
- 保育士の資格を有するもの
- 社会福祉士の資格を有するもの
- 精神保健福祉士の資格を有するもの
- 高等学校を卒業したもの(もしくは通常の過程による12年の学校教育を修了したもの)で、2年以上児童福祉事業に従事したもの
児童発達支援管理責任者
児童発達支援センターや放課後デイサービスを適切に運営するための責任者であり、子どもたちの成長に合わせた「個別支援計画の作成」を行う。
必要スキル
厚生労働省が定める研修を受講したもの
児童福祉施設「各職員の配置」と覚え方
児童福祉施設の配置職員表
児童福祉施設の職員配置
家庭支援専門相談員 | 個別対応職員 | 保育士 | 児童指導員 | 母子支援員 少年指導員 | 心理療法担当職員 | |
---|---|---|---|---|---|---|
児童養護施設 | 必置義務 | 必置義務 | 必置義務 | 必置義務 | 一定数以上 対象者がいる場合 必置 |
|
児童心理治療施設 | 必置義務 | 必置義務 | 必置義務 | 必置義務 | 必置義務 | |
乳児院 | 必置義務 | 必置義務 | 看護師にかえて 置くことが出来る。 20人以下は必置。 | 看護師にかえて 置くことが出来る | 一定数以上 対象者がいる場合 必置 |
|
児童自立支援施設 | 必置義務 | 必置義務 | ※1 | ※1 | 一定数以上 対象者がいる場合 必置 |
|
障害児入所施設 | 必置義務 | 必置義務 | ※2 | |||
児童発達支援センター | 必置義務 | 必置義務 | ||||
母子生活支援施設 | 個別に対応が必要な場合、必置 | 必置義務 | 一定数以上 対象者がいる場合 必置 |
※1 児童自立支援専門員、児童生活支援員を置かなければならない
※2 福祉型で心理指導が必要な児童5人以上がいる場合、心理指導担当職員を必置
児童福祉施設の配置職員:覚え方「施設と役割をひもづけて覚えよう!」
児童福祉施設に配置される専門的職員は、その施設のニーズによって役割も様々。
ゴロで覚えるにも、名前が似ていてとてもややこしい。
でも、それぞれの職員は明確な「施設のニーズ」があってこそ配置されています。
職員配置を覚えるには、「施設のニーズ」と「職員の役割」を紐づけて覚えるとGOOD。
家庭支援専門員
家庭支援専門員の役割は「里親支援」です。児童が家庭を持つことを支援する。
里親ってことは、親がいなくて施設保護されている子ども。
ってことは、親に観護されていない児童を預かることがある施設、
- 乳児院
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
は必置となるわけです。家庭支援専門員は、里親を必要とする子どもが入っている施設に必置。
日本では現在里親等、アットホームな環境で監護することが望ましいとされてるので納得。
個別対応職員
児童養護施設や乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設等、虐待を受けた児童やDV被害の母子へは、手厚いケアが必要であり、最低限配置されたスタッフだけでは対応が不十分。
そこで必要になったのが、特にケアが必要な母子および児童に対し、個別対応ができるスタッフ「個別対応職員」です。
とくに個別な対応が必要な、虐待やDVなどの被害者が入所する施設に必置になります。
- 乳児院
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 必要な場合、母子生活支援施設
母子生活支援施設でも、個別に対応が必要な場合は必置になります。
保育士
児童の保育を主な役割とする保育士は、いわば児童保育のプロ。保護者不在の施設で児童を預ける施設にとって重要な存在です。子どもを見てくれる人がいない環境にある施設には、必置になります。
保育士必置施設は、
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 乳児院(看護師に代えておくことが出来る)
です。事情があって保護者が保育できない状況にある、児童を預かる施設ばかりですね。
児童自立支援専門員、児童生活支援員
問題行動を抱える児童を、自立に導いて社会に戻れるよう助けるのが「児童自立支援施設」。児童の心理状態を理解し、児童福祉に精通した人材が必要です。
児童自立支援専門員、児童生活支援員は、それぞれ資格要件があり、児童の発達や精神衛生に精通した人のみがなれる職業です。
児童自立支援施設に必置になっています。
自立支援・生活支援といえば、児童自立支援施設ですね。
児童指導員
児童指導員は、児童福祉や教育に精通した存在で、保護者不在の児童を預かる施設に必置。必置施設は保育士同様。
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 乳児院(看護師に代えておくことが出来る)
母子支援員・少年指導員
母子が入所する母子生活支援施設は、母子家庭の福祉に精通した人材が必要です。また、子どもの自立に向けて指導する人も必要になります。
なので、母子生活支援施設には、特別に母子支援員・少年指導員が必置。
母子の支援、児童の指導というふたつの役割が必要なことを覚えておきましょう。
心理療法担当職員
虐待などが原因で、心理的な問題を抱える児童に対して、心理学に精通した心理療法担当職員は必須な存在。
なので、児童心理治療施設には必置です。
ただし、一定数以上心理指導が必要な児童や母子がいる場合、以下の施設でも心理療法担当職員が必置になります。
- 児童養護施設
- 乳児院
- 児童自立支援施設
- 障害児入所施設
- 母子生活支援施設
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準:各職員の役割と配置、まとめ
児童福祉施設の各職員には、それぞれ施設のニーズに応じた役割があり、施設のニーズに応じて必置義務があります。
全ては利用者のニードを満たすために、各施設の特徴に応じて職員を配置しているだけのことなんですね。
各職員や施設の名称が似ているので、ただ配置される職員の名前を覚えようとしても、その理屈を知っていないと、試験当日にど忘れしてしまうような部分です。
職員配置を覚えるためには、しっかり施設に入所している利用者のニーズと、それに必要な職員の特徴を覚えましょう。
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