保育の心理学

ピアジェ”認知発達段階説”をわかりやすく説明。保育士試験に合格しよう

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保育士試験には、必ずと言っていいほど科目「保育の心理学」でピアジェが登場します。発達理論について述べた学者です。ピアジェは年代によって違う認知の違いを分けた認知発達段階説について述べています。発達心理にはかかせない理論です。ここでは、ピアジェの認知発達段階説についてわかりやすく解説していきます。

 



ピアジェ:認知の発達を分類化した「認知発達段階」とは

スイスの心理学者ジャン・ピアジェは、20世紀の心理学会において最も影響力があったひとりとも言われています。

ピアジェの画像

画像引用:Wikipedia「ジャン・ピアジェ」

 

ピアジェが提唱したのは、認知発達段階説。こどもは生まれたときから成長に伴って、認知力も発達していくことを唱えました。各年齢によって4分類にされ、分類毎によって獲得する認知力が違います。

  • 1段階目:感覚運動期(0~2歳)
  • 2段階目:前操作期(2~7歳)
  • 3段階目:具体的操作期(7~12歳)
  • 4段階目:形式的操作期(12歳~成人まで)

何もわからない生まれたばかりの赤ちゃんが、物を見たり、触れたりするなかで物事を理解していく。例えばおもちゃをつかんで、離すとおもちゃが手から落ちる。こうして人は、成長のなかで掴んで離すと「落ちる」ことを理解します。このように、いろんなもの・こと・ひとに見て、触れて、体験し、知らなかったことを理解する「シェマ(認知の枠組み)」を獲得していきます。ピアジェはこの認知力の獲得について、深く考察した心理学者です。ひとはシェマの獲得を繰り返して認知力を高め、成人になるころには論理的思考や推測力、問題解決ができるようになります。

 

ピアジェが理論化した各段階について詳しく見ていきましょう。

 

1段階目:感覚運動期(0~2歳)

ピアジェは、生まれてからの0歳から、2歳までの期間を「感覚運動期」と分類しました。赤ちゃんが感覚と運動からシェマを習得する段階です。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ頭のなかで「自分」と「自分以外」という概念がありません。子どもは生後から2歳まで、いろんなものに触れたり、人と関わったり等の体験を通して、自分以外のすべてを把握していきます。ものを掴んでみる→持つことが出来る→離すと→落ちる・・といった風に、自分以外のものに触れたり、みたりして経験を重ねていく中でシェマ(認知の段階)を広げていくのです。

 

生まれて間もない赤ちゃんは、目に見えている視界のなかだけがすべて。目の前にいた大好きなママが急にいなくなると、まるで一生会えなくなったかのように大泣きします。これはまだ「対象の永続性」を獲得できていないからです。対象の永続性」とは、目の前にいるものが、視界から見えなくなってもそこに存在はしている、という概念のこと。生まれて間もない赤ちゃんは、目の前からママがいなくなると、まるでママが消えてしまったかのようにとらえて泣きわめきます。シェマが拡大し認知力が高まると、目の前にいたママがトイレにいっても、ママがいなくなったわけではなく、違う場所にいることを理解できるようになります。これが対象の永続性を理解した状態です。

 

まだシェマが拡大していない赤ちゃんは対象の永続性が習得できていませんが、0~2歳の「感覚運動期」のあいだに習得できるようになるといわれています。また、この時期は「表象能力(何かを思いうかべること)」も獲得できるようになるといわれています。

2段階目:前操作期(2~7歳)

かたことで話せるようになった2歳から小学校に入るまでの幼稚園・保育園児の間、「前操作期」に突入します。

前操作期とは、 イメージや表象を用いて考えて行動したりできるようになる時期です。ただし、まだ論理的・推測的な思考は乏しく、自己中心性(中心化)が抜けておらず、他人の視点から立った捉え方をすることはできません。

 

前操作期の特徴は、自己中心性、保存性の未発達、アミニズム的思考です。

 

自己中心性(中心化)

自己中心性(中心化)とは、自分の視点を中心にした見方のこと。ピアジェはこの自己中心性を子どもの思考の特徴であると述べています。自分からの視点でしか解釈できないので、自分にとっての右側が、向かいに座っているひとにとっては左側になることが理解できません。自分を客観的にみることはまだできないので、自分がしたことを反省したり、自分の考え方を意識することもできません。話せるようになってもまだ客観的な考え方ができないため、相手の立場になって行動したり、自分の行動を評価・反省することは難しい時期でもあるのです。

 

保存性の未発達

保存性とは、ものの形・見た目が変わっても、そのものの性質や量は変化しない概念のことです。例えば、同じコップに入った同じ量の水を細長いコップに移し替えた場合、水の量は実質変化していませんが、保存性が未発達の子どもは細長いコップの方が量が多いと判断します。まだ物事を論理的に考えられないので、見た目とイメージだけで判断してしまう状態です。

 

アミニズム的嗜好

アミニズム的嗜好とは、生き物ではないものも、生きているものと捉える状態のことです。人形に名前を付けて世話をしたり、山が怒っていると表現したり、生き物でないものを生きているかのように捉える考え方です。

 

また、前操作期には象徴機能が発達し行動に現れる時期です。象徴とは、置き換えられたもののこと。象徴機能とは、現実ではないことを違うものに置き換える行動のことです。例をあげるとごっこ遊び、ふり遊び、見立て遊び等があげられます。

 

3段階目:具体的操作期(7~12歳)

子供は小学生の年代になると、具体的操作期に入ります。このころには保存性の概念を習得し、論理的な思考ができるようになります。

自己中心性からも脱却し、相手の立場にたった考え方もできるようになります。具体的操作期の特徴は、脱中心性・保存性の習得・アミニズムの克服、等。物事を順序立てて考える論理的な思考は身についてきますが、物事を幅広くとらえて考えることはまだ苦手です。

 

保存性を習得する

この年代になると、見た目だけで物事を判断していた前操作期と比べ、論理的な思考を身に着けるようになります。物を動かして考えたり、数字を数えたりすることもでき、量や長さ、重さなども捉えることが出来るようになります。前操作期では考えることが出来なかった比較や論理、例えば「黒のかばんは白のかばんより軽い。赤のかばんは黒のかばんより重い。それでは一番軽いかばんは何色のかばんですか?」といった、数字が関係する比較も考えられるようになります。様々なものごとの概念を組み合わせて、考えることができるようになっていきます。

 

脱自己中心性

自分の視点からみた世界がすべてだった前操作期から、他人からの視点についても考えることができるようになります。脱自己中心性をはかるための有名なテスト、「3つの山の課題」があります。大きさ、形が違う3つの山を、自分がいる以外の地点からみたとき、どのような風景になるのかを想定するテストです。このテストはピアジェとインヘルダーによって考えられたものです。

 

4段階目:形式的操作期(12歳~成人まで)

およそ中学入学から成人までの「思春期」にあたる年代、それが形式的操作期です。

この時期は、論理的思考に加え、抽象的思考もできるようになります。高度な思考力を習得することで、推察や「もしこの場合だったらどうなるのか」など、仮定的な考えもできるようになります。

 



保育士国家試験:ピアジェで押さえておきたいポイント🖕

ピアジェの認知発達段階は、現代のこどもの教育課程にも大きく影響をきたしている理論のひとつ。日本の教育機関では、子どもの年代に応じて変わるシェマに合う教育を行っていますね。

保育士国家試験にあたり、ピアジェに関して出される問題の特徴を紹介します。

 

認知発達段階全体を網羅しよう「ピアジェの考え」

保育士国家試験で出されるピアジェの問題は、認知発達段階に関することが中心。ピアジェが展開した認知発達段階がどういった理論かを問われる問題が多いです。認知発達段階は理解しているかを問われる傾向にあるので、丸暗記するよりニュアンスで覚えるほうが効果的。自分の知っている子どもをイメージしながら、理解を深めていくほうが効果的でしょう。

ピアジェの認知発達段階をどれくらいしっかり覚えたらいい?

各段階の特徴と詳細は、カンタンに説明できるくらいになるのが目標。国家試験対策にあたり、効率的に勉強するためには、何をどこまで理解するのか目標をさだめながら勉強することが大事です。

ピアジェの提唱した認知発達理論の各段階には、特徴があります。この年代のこどもの、認知の特徴はなにかをカンタンに説明できるくらいにはなっておきましょう。例えば、前操作期に起こる自己中心性とはなにか、具体的操作期に起こる保存性の習得とはどういったことか等、各段階に起こる特徴的なシェマについては問われやすいので、理解しておく必要があります。

 

保育士試験には、エリクソンの理論も必ず出題されます。合わせて復習しておきましょう。

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